クサくない肛門腺ってどういうこと?

肛門嚢の中に溜まる分泌物がどんなものかというと
色、ニオイ、粘度、混合物など実にバリエーションに富んでいます。

強烈なウンチ臭
錆びた鉄のような酸化臭
硫黄のようなニオイ
そして、無臭

サラっとしている
ドロッとしている
練りゴマ状
粘土状

黒・茶・白・緑
などなど。
これらは個体差でもあるし
同じ個体でもその日、その時によって変わります。

これら肛門腺に貯まる分泌物や老廃物は
当然その犬の体内の状態と関係がないわけがありません。

ここではまず、
私個人が実際に過去から現在まで
肛門腺絞りを行ったワンコたちの中で
肛門腺の内容が大きく変化した例をお伝えします。

ひとりは
出張トリミングで定期的に訪問している
マルチーズ×トイプードルのミックス犬のリリちゃんです。
最初にお会いした時は12歳、今はもうすぐ15歳です。
この子はなぜだか肛門腺が溜まりやすい傾向があり
私がトリミングを担当し始めた頃
あまりにも肛門嚢がパンパンに詰まっており
粘度が濃くて
シャンプーの時に絞ろうとしてもなかなか出ない、、、
あまり無理すると破裂してしまいそうで
病院で絞ってもらうように勧めた方がいいかと
毎回悶々としながら
時間をかけて揉みだすことでなんとか絞り出す
ということを繰り返していました

リリちゃんの場合は
分泌物はの二オイはそれほど強くないものの
軽い酸化臭
白くてねっとりしていました

最初のひと絞りが出てくれば
あとはすっきりと絞り切れて
すっきりぺったんこになりますが
とにかく溜まるのが早いので
トリミングの間に動物病院に行く機会があった場合は
是非そのタイミングでもチェックしてもらってほしいと
お願いしていました

ある時リリちゃんが
ちょっとしたお腹の不具合で動物病院を受診し
よくあることですが療法食を勧められたそうです

それをずっと与えるのがなんとなくイヤだなと思った飼い主さん
療法食をやめて自主的に手作り食に切り替えたのです。
それをしばらく続けるとお腹の調子が安定し
その頃から肛門腺の溜まり方が著しく変化しました。
まず溜まる量が圧倒的に少なくなり
サラサラしていて
絞ればすぐにピュッと出る
色は白で以前とほぼ同じですが
酸化臭はなくなりました
あるトリミングの時、溜まっている量がこれまでより極端に少なかったので
「病院で絞ってもらったばかりですか?」
と聞いたら、
「いえ、前回のトリミングからきょうまで病院には行っていません」
とのこと。
以前は次のトリミングの時までに
破裂しそうにパンパンに溜まっていたのに
今ではサラサラなものがほんの少し溜まるくらいに
劇的に変化したのです。

これはおそらく
食事によって身体に取り入れてしまう添加物の量の違いによるものと思われます。


実際、私が見てきた肛門腺のニオイがまったくクサくないワンコたちは
例外なく、、、と言ってもいいほど手作り食を食べています。
そもそも手作り食を食べているワンコさんは
肛門腺だけでなく
体臭が少なく、排泄物、、、つまりウンチやおしっこのニオイが
大幅に軽減されています。

身体から出ていくものは、当然のことながら
身体に入れたものからできているわけで
何を入れているかで排泄物のニオイや状態が変わるのも当然です


ですから、
普段はにおわないコの肛門腺から
たまにうっすら酸化臭がしたりすることがありますが
それはそのワンちゃんの身体からの何らかのメッセージということですね。



また別のお話
和音では、ワンコの整体をしていますが
その施術の一環としてお灸を取り入れています。

和音の施術は
こわばった筋肉をマッサージでほぐすような方法ではなく
筋肉がこわばってしまうような原因の方を取り除くことによって
身体が本来の状態に戻していくようにしていきます


ある時、そのためにお灸を積極的に取り入れ始めた頃のこと
ある常連ワンコのトリミングの時に
きょうはどうした??
って思うほど肛門腺がたくさん出たということが
複数のワンコさんの間で同時多発的に起こりました。


普段はほとんど溜まらないワンコさんたちも
体調によってたくさん溜まっていることがある
それが複数のワンコたちの間で同時期に起こったので
あれ?と考えてピンときました。


和音では
お灸を単に身体を温めるためではなく
関節や骨の際に溜まっている老廃物を徹底的に叩き出すように使います。
身体の動きを阻害する元凶となっている老廃物を浮き上がらせて出て行ってもらうわけです

上記の同時多発的に肛門腺の分泌物が増えたワンコたち全員が
その施術をした直後のことだったのです。

デトックスが進んだということですね。


私自身は自分が直面してきた実体験から
上記のように理解を深めていきましたが、


肛門腺のことって
実はそれほど知られていないし
重要視もされてないように思いますが、


3年くらい前のこと、
ある獣医さんとトリマーさんが
「肛門腺絞り」をテーマにしたセミナーを開催されまして、
興味があったので受講しました。


そこでの結論によると、

肛門腺の様々な色や形状はすべて『正常』であり
その違いに「特に意味はない」とのこと。

その根拠として紹介された研究結果では、次のような比較がなされていました

1.「健常な」犬 vs 皮膚病に罹患している犬
2.「健常な」犬 vs 肛門嚢疾患がある犬


上記2種の比較によると、「健常な」犬と「皮膚または肛門嚢疾患がある」犬との間に
肛門腺の分泌物の特徴に『差はない』とされていました。だから気にする必要はないと。
そして「肛門腺を定期的に絞ることが肛門嚢の病気予防になるわけではない」という結論でした。

この研究としてはそのような結論になった意味はわかります。
ここでの検証は
肛門腺の溜まり具合が皮膚病、または肛門嚢の病気と関連しているのではないか
という仮説を持ったことから始まっており
それに対しては差がなかったというものですね。


この研究によりそれを発表したトリマーさんが伝えていることは
ただルーティンとして肛門腺を絞る必要はなく
無理のない範囲で、溜まっていることによる不快感を取り除く必要がある時だけ
絞ればよいということでした。


お尻を気にしている犬でも
触ると嫌がる場合、触れても硬くて普通に絞れない場合は
サロンで無理に絞るのではなく病院へ行ってもらうよう促しましょう
という結論でした。

それはその通りですね。


ただ和音では、
それとは別の視点で話をしているので
その視点から続きを述べます。

肛門腺の溜まり具合や分泌物の状態の違いが
肛門嚢や皮膚の病気に関係がないとのことですが

差がないのはその2点のグループ分けの比較に対してのみを指しているに過ぎず
その他すべのことと関係がないということにはなり得ません。


つまり肛門腺の状態は肛門嚢や皮膚だけを反映しているのではなく
もっと広い範囲の健康状態を表していると言えます。


また、上記の研究ではニオイの違いに関する言及が皆無でした。

便や尿のニオイがその犬の体調を反映するように
肛門腺も犬の身体からの分泌物である以上は
ドロっとしているよりはサラっとしている方が
そしてクサイのとクサくないのとでは
やはりクサくない方が
どう考えても健康状態がよろしいと考えるのが自然ではないでしょうか?


そんなわけで
肛門腺だけに注目してどうこうしようとする意味も必要もありませんが
犬の身体全体を診て適切なケアをして
良い健康状態で過ごしてもらえば
肛門腺も間違いなくそれに比例した状態になっていくわけです。

飼い主様ご自身では気が付きにくい部分ではありますが
プロに絞ってもらって何か報告を受けた時など
このことを思い出してご愛犬の身体の状態を確認して頂ければ幸いです。

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